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Uターンで住職に。Iターンとなる妻と家族との暮らしで高野町の魅力を再発見中

浄土真宗本願寺派 円正寺住職(えんしょうじ)

伊達 崇史さん

高校・大学生時代を県外で過ごし高野町にUターンして19年

伊達さんは、奥様、2人の娘さん、お母様との5人家族。ご実家を継いで高野町にある円正寺の住職をされています。高校は福岡、大学は京都と県外で研鑽を深め、2003年に高野町へ戻られました。

「私は中学校卒業とともに県外へ進学しました。勉強や経験を積み、ゆくゆくはお寺を継ぐことになるだろう…と思っていましたが、学生時代はまだあまり真剣には考えていませんでしたね。しかし、当時住職であった父親の体調に懸念があり、大学卒業後に急遽高野町へUターン。実務を担いながら勉強し、2011年の住職継職法要を経て正式に住職となりました」

伊達さんは、円正寺の住職だけでなく市役所内にある公法人の嘱託職員しても勤務され、比和町のお寺の住職代理も担っています。

「Uターン当初は円正寺での実務に専念していましたが、市役所内にある公法人の嘱託職員で職員を必要としていると声をかけられ、2005年から役所でも働いています。地域のことを知る良い機会と思い引き受けました。正式に住職となってからは平日2~3日の勤務です。さらに庄原市比和町のお寺の代理住職もしていて、法要や法事で隣町へ足を運ぶこともあります」

奥様は働き盛りで高野町へIターン!趣味を極めてお花の講師としてもご活躍中

伊達さんは高野町にUターンされる際に、京都で出会った結婚2年目の奥様とともに戻られました。奥様にとってはIターンです。

「妻は岐阜県出身。京都で出会い、私が大学3年生のときに結婚しました。妻は短大を卒業して百貨店で忙しく働いていた頃に、高野町への移住が決まったかたちとなります。『高野へはいずれ帰るつもり』と伝えていましたが、ずいぶんと予定が前倒しになりました」

奥様はIターンをどう感じていたのでしょうか。

「戸惑っていたと思います。高野は広島弁と出雲地方の方言が入り混じるエリア。方言が強めの方もいるので、『外国語を聞いているみたい』と言っていましたね」

奥様は高野町という新たな環境でさまざまなお仕事を経験され、コミュニティを広げていかれたそうです。

「妻は仕事をしながら地域にうまく溶け込んでいったように思います。Iターン当初は家庭にいる時期もありましたが、とある門徒さん誘いで市役所(当時は高野町役場)の臨時職員として数年勤務。その後、道の駅たかので5~6年働き、現在は医院の受付の仕事をしています」

さらにフラワーアレンジメント教室も開いているそうです。

「妻は花が好きで、趣味から始めたフラワーアレンジメントで講師の資格を取り、今ではお寺で教室を開くまでになりました。地域のみなさんと楽しむ良い機会となっているようです」

ご自身の力でコミュニティをどんどん開拓されていかれた様子が伺えます。

「妻本人はこの土地にまだ馴染みきっていないと言いますが、自然に広島弁を話していますよ(笑)。子供が生まれてからは、保育園や学校関係の友人も増えたようです」

高野町は自然の宝庫!自分だけの穴場スポットを見つける楽しさにハマり中

伊達さんから見た高野町の魅力とは?

「高野は自然が豊かで、四季の移り変わりを感じられる場所。都会にはない環境を楽しめます。空気が澄んでいるので星空も美しいですよ。家の電気を消して外に出ると、浮き上がるように星空が広がります。それに、野菜やお米など、いただく農作物がどれもおいしいです。子供の頃は特別に思っていませんでしたが、一度離れて帰ってきて、それらがとても贅沢なことだと気付きました」

高野町には穴場スポットも多くあるそうです。

「高野には蛍もいますし、紅葉もきれい。景色が良い場所もあります。観光スポットとして宣伝されていない穴場もたくさんあるんです。娘たちとそういったスポットを探すのが楽しいですね」

伊達さんは、お寺の子供会で自然を楽しむ機会も作っています。

「夏休みにお寺でサマースクールを開催しています。高野町外から子供さんが参加してくれることも。ウォークラリーなどを通して自然を満喫しています」

高野町は子供から高齢者までみんなで支え合って暮らせる地域

高野町での子育てや、高齢者の暮らす環境について伺いました。

「子供たちは、地域の人に『いってきます』や『ただいま』の挨拶を当たり前のようにしています。大人がみんなで子供たちを見守っていて、遠慮せずに頼れる雰囲気があります。福祉関係の施設も多く、高齢者を対象としたお茶飲み会などの集まりも充実しているようです。高齢者を支える体制も、地域みんなでといった雰囲気のように思います」

高野町の地域の方々についても語っていただきました。

「私がコロナになったときに、門徒さん心配して食べ物を届けてくださいました。こういった付き合いをしてくださることが有難いです」

支え合いの精神を感じます。

「このあたりでは、歳が離れていても親しみを込めて名前やあだ名で呼び合うんですよ。日頃から家族のように助け合うのも田舎ならではかもしれません。高野町には地域でお葬式を行い見送る風習が残っているエリアもあります。私は仕事柄、人の一生に接する機会が多いため、そのような関わりを通して喜びや悲しみを共感できるのが田舎暮らしのメリットだと実感しています」

秀でた特技を持った方もいて、知らなかったことを教えていただける機会に恵まれている、と感じることもあるそうです。

「私は住職としてこうした地域の良さを守っていきたいですし、一度高野町を離れた方々にも、再び高野町の温もりに触れていただける機会を作っていけたらなと思っています」

最後に、高野町へ移住を考えている方へ向けて地域に溶け込むコツを教えていただきました。

「移住者のなかには近い距離感に戸惑う方もいるかもしれません。私たち家族にもそんな時期がありました。ですが、長く住んでいるとそれが“良さ”と感じられるときがきます。誘いにのって行事やコミュニティに参加すると地域に馴染みやすくなるのではないでしょうか」